保険のセールス


「何としてもセールスの実績で永住権を」、とがんばりつづけたのだが、
なかなか事態は進展しない。

先にいったように、保険のセールスという職業は、
どこかうとんじられていた面があった。

実際、わたしが書類を申請したとき、そこの移民局の局長は、
「保険屋なんて五セントで一ダースも買えるような職業だから、受理などとんでもない」と公言したのである。

おそらく、前例もなかったのだろう。
こう押しても引いても開かぬ扉に業を煮やしたわたしは、
最後の手段を取ることに決めた。